ベネット家の記憶
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suzujiu_orichar 2020年09月19日(土) 23:16:26履歴
ベネット家の概要 
外様貴族で御家芸は馬術。
古くは国交相の役目を果たし、カンテの服飾にも影響を与えた家。
ベネット家には「馬の一族」という別名もあるが、蔑称である。
2大家など譜代の貴族たちは貴族になった渡来人の子孫を外様貴族と総称し見下している。
表向きは技術の優れた人として尊敬しているが、心の底にある溝はいまだに埋まらない。
貴族内での格差も当然あるため、末席にしがみついているベネット家と似たような境遇の家への風当たりはそれなりに強い。
ギルバートの他人を見下した態度の中には自分の家が見下されている事が関係しているかも。
自分が壊れないための防御方法なのかもしれない。
ギルバートのお姉様達が蝶よ花よと育てられたのは、出来れば風当たりの強い中に置いておきたくない親心だったのかもしれない。
古くは国交相の役目を果たし、カンテの服飾にも影響を与えた家。
ベネット家には「馬の一族」という別名もあるが、蔑称である。
2大家など譜代の貴族たちは貴族になった渡来人の子孫を外様貴族と総称し見下している。
表向きは技術の優れた人として尊敬しているが、心の底にある溝はいまだに埋まらない。
貴族内での格差も当然あるため、末席にしがみついているベネット家と似たような境遇の家への風当たりはそれなりに強い。
ギルバートの他人を見下した態度の中には自分の家が見下されている事が関係しているかも。
自分が壊れないための防御方法なのかもしれない。
ギルバートのお姉様達が蝶よ花よと育てられたのは、出来れば風当たりの強い中に置いておきたくない親心だったのかもしれない。
18世期前半
科学の夜明け時代にベネット家初代当主カスバート・リー・ベネットは家族を連れてこの国へ移り住んだという。以前に住んでいた国の名は口伝に含まれておらず、大陸の国としか伝わっていない。
(近年の調査により、古ベネット家と関わりのありそうな文書が発見された国があるが、明確な年代が不明な為に信憑性がまだ薄い。)
ベネット家は祖国でも貴族の一隅におり、乗馬の名手が多い家系だった。
カスバートの父は技術の素晴らしさから国王のお気に入りになったが、それが元で周囲の反感を買い、国王暗殺の罪をでっち上げられ、獄中にて自殺した。
当時、技術者階級以下でカンテ国は「冥国」という一種の御伽話として「魔の世界と繋がっている」「世界中の魔女を集めている」という話が出回っていた。ほとんどの人は国の存在を信じていなかったが、邸に出入りしていた技術者から話を聞いていたカスバートはカンテ国の真意を見抜き、「使えるものはなんでも使う国」だと結論。
家族と志願した使用人を連れ、父を殺した祖国を捨てカンテ国を目指し旅立ったという。
壮絶な旅の中、貴賤の差なく家族も使用人も亡くなっていった。
大海を超え、半ば漂着のような状態でカンテ国に到着した頃には人数が出発時の4分の1に減っていたが、3頭の名馬と馬具や手入れの道具などは守り抜いた。
その頃のカンテ国では作業馬を飼ってはいたものの、使いこなせていない状況だった。
その様子を見たカスバートは代々受け継いできた知識と祖国で得た語学力で、馬の扱い方を伝授する事にした。飼育環境の整備の仕方やコミュニケーションの取り方、馬のできる仕事などを近くにいた馬を飼ってる人たちに伝え、小さな成果を積み重ねているうちに当時のカンテ国王から「臣の立場を与える故、国中に技術を伝えてみないか」と声をかけられた。当時、臣の立場は公費で教育活動や研究活動を支援する枠としても使われていた。一も二もなく承諾したカスバートは臣の立場をカンテ国王から与えられ、国内の様々な場所で馬の事を教える一族として有名になっていく。
ベネット家が臣から貴族へ昇格したのは、ランツで起きた内乱での戦果によるもの。
内乱鎮圧に時間のかかっていた国王軍に乗馬方法を教え、祖国より連れて来ていた名馬3頭とその子供たちで小さな騎馬隊を組織し、馬では移動できないとされた急な坂道を駆け下りて見せ、手に馴染んだ猟銃で激闘をしたという。
彼から伝授された乗馬方法はカンテ国の既存の戦い方を変え、国王軍を勝利へ導いた。
この出来事が評価され、ベネット家は臣から貴族へ昇格する。
(ただし、この戦果については歴史書との食い違いが一部ある為、口伝は脚色が混じっていると思われる。“急な坂道”の場所が特定されておらず、主戦場であるランツに条件の当てはまる場所がない。実際の戦闘に加わったのはカスバートなのか彼の息子なのかも定かではない。)
晴れて貴族へ昇格したベネット家。
カスバートが最初に国王に願ったのは、祖国で愛用していた服をカンテでも着る許可だった。国王は軽く許可を出したが、この決定が文化に大きな影響を与えるとは知らなかった。
ベネット家が見せたのは祖国の貴族衣装。(“こちら”で言う18Cフランス宮廷衣装に近いものと思われる。ブラウスの上にジレ＋コート、膝丈のボトムスにストッキング。)
その華やかさに心奪われた他の貴族達が似たものを職人に作らせるべく、競うように服の注文が殺到する。ただ、カンテ国では資源が限られており、全く同じ素材で全く同じデザインにする事はできず、他の文化と混じり合った独創的なデザインのものが出回った。
それを見ていた庶民たちも貴族階級への憧れから真似たデザインの服が流行したという。
250年弱の時間をかけ、庶民の間ではよりスマートに簡略化された服に変化していった。
発端になったベネット家は現代でも当時の衣装を大切に保管しており、特別な行事や冠婚葬祭時に着用している。他の貴族の家でも当時作られた衣装を保管し、着用を続けている家があるので、現代礼服に準じるものであると認識されている。
(ちなみに和服は大流行まで至らなかったので現代礼服に準じるものではない。)
馬の扱いに長けていたベネット家は国交相の役目も何度か果たし、土木の専門家たちと渡り合いながらカンテ国の道路整備にも尽力した。
(現代も残る馬車鉄道の痕跡はベネット家の功績の一つである。)
初期に連れてこられた3頭の名馬とその子供たちをカンテ国にいた馬と掛け合わせて丈夫な馬の種類の開発を支援していた事もある。
(近年の調査により、古ベネット家と関わりのありそうな文書が発見された国があるが、明確な年代が不明な為に信憑性がまだ薄い。)
ベネット家は祖国でも貴族の一隅におり、乗馬の名手が多い家系だった。
カスバートの父は技術の素晴らしさから国王のお気に入りになったが、それが元で周囲の反感を買い、国王暗殺の罪をでっち上げられ、獄中にて自殺した。
当時、技術者階級以下でカンテ国は「冥国」という一種の御伽話として「魔の世界と繋がっている」「世界中の魔女を集めている」という話が出回っていた。ほとんどの人は国の存在を信じていなかったが、邸に出入りしていた技術者から話を聞いていたカスバートはカンテ国の真意を見抜き、「使えるものはなんでも使う国」だと結論。
家族と志願した使用人を連れ、父を殺した祖国を捨てカンテ国を目指し旅立ったという。
壮絶な旅の中、貴賤の差なく家族も使用人も亡くなっていった。
大海を超え、半ば漂着のような状態でカンテ国に到着した頃には人数が出発時の4分の1に減っていたが、3頭の名馬と馬具や手入れの道具などは守り抜いた。
その頃のカンテ国では作業馬を飼ってはいたものの、使いこなせていない状況だった。
その様子を見たカスバートは代々受け継いできた知識と祖国で得た語学力で、馬の扱い方を伝授する事にした。飼育環境の整備の仕方やコミュニケーションの取り方、馬のできる仕事などを近くにいた馬を飼ってる人たちに伝え、小さな成果を積み重ねているうちに当時のカンテ国王から「臣の立場を与える故、国中に技術を伝えてみないか」と声をかけられた。当時、臣の立場は公費で教育活動や研究活動を支援する枠としても使われていた。一も二もなく承諾したカスバートは臣の立場をカンテ国王から与えられ、国内の様々な場所で馬の事を教える一族として有名になっていく。
ベネット家が臣から貴族へ昇格したのは、ランツで起きた内乱での戦果によるもの。
内乱鎮圧に時間のかかっていた国王軍に乗馬方法を教え、祖国より連れて来ていた名馬3頭とその子供たちで小さな騎馬隊を組織し、馬では移動できないとされた急な坂道を駆け下りて見せ、手に馴染んだ猟銃で激闘をしたという。
彼から伝授された乗馬方法はカンテ国の既存の戦い方を変え、国王軍を勝利へ導いた。
この出来事が評価され、ベネット家は臣から貴族へ昇格する。
(ただし、この戦果については歴史書との食い違いが一部ある為、口伝は脚色が混じっていると思われる。“急な坂道”の場所が特定されておらず、主戦場であるランツに条件の当てはまる場所がない。実際の戦闘に加わったのはカスバートなのか彼の息子なのかも定かではない。)
晴れて貴族へ昇格したベネット家。
カスバートが最初に国王に願ったのは、祖国で愛用していた服をカンテでも着る許可だった。国王は軽く許可を出したが、この決定が文化に大きな影響を与えるとは知らなかった。
ベネット家が見せたのは祖国の貴族衣装。(“こちら”で言う18Cフランス宮廷衣装に近いものと思われる。ブラウスの上にジレ＋コート、膝丈のボトムスにストッキング。)
その華やかさに心奪われた他の貴族達が似たものを職人に作らせるべく、競うように服の注文が殺到する。ただ、カンテ国では資源が限られており、全く同じ素材で全く同じデザインにする事はできず、他の文化と混じり合った独創的なデザインのものが出回った。
それを見ていた庶民たちも貴族階級への憧れから真似たデザインの服が流行したという。
250年弱の時間をかけ、庶民の間ではよりスマートに簡略化された服に変化していった。
発端になったベネット家は現代でも当時の衣装を大切に保管しており、特別な行事や冠婚葬祭時に着用している。他の貴族の家でも当時作られた衣装を保管し、着用を続けている家があるので、現代礼服に準じるものであると認識されている。
(ちなみに和服は大流行まで至らなかったので現代礼服に準じるものではない。)
馬の扱いに長けていたベネット家は国交相の役目も何度か果たし、土木の専門家たちと渡り合いながらカンテ国の道路整備にも尽力した。
(現代も残る馬車鉄道の痕跡はベネット家の功績の一つである。)
初期に連れてこられた3頭の名馬とその子供たちをカンテ国にいた馬と掛け合わせて丈夫な馬の種類の開発を支援していた事もある。
19世期
時代は少し進んで19C。
以前から一部の職種で実用化されていた蒸気機関が、大陸から輸入した材料で多く生産できるようになった影響で広く普及した。石炭はかなり採掘されていたが、鉄の採掘量がイマイチだった背景もある。蒸気機関で船が動き、蒸気機関車も登場し、蒸気機関を使った自動車も登場し、工場も大量生産に対応できるようになると、徐々に移動や運搬としての馬の影が薄くなっていった。農村部ではまだまだ現役でも、都市部ではあまり見かけないほどに。
時代と共に「馬の専門家」だけで貴族の特権を守れる訳ではないとベネット家が気づいた頃には最盛期よりかなり仕事が減っており、貴族の中でも肩身が狭くなっていた。
輸出入で大儲けした豪商たちの方が豪奢な暮らしをしているのを見て当時の当主アルバート・ディル・ベネットは「今まで先祖代々の努力は何だったのか」「人々は馬ではなく黒い空を選んだのか」と嘆いたという。
以前から一部の職種で実用化されていた蒸気機関が、大陸から輸入した材料で多く生産できるようになった影響で広く普及した。石炭はかなり採掘されていたが、鉄の採掘量がイマイチだった背景もある。蒸気機関で船が動き、蒸気機関車も登場し、蒸気機関を使った自動車も登場し、工場も大量生産に対応できるようになると、徐々に移動や運搬としての馬の影が薄くなっていった。農村部ではまだまだ現役でも、都市部ではあまり見かけないほどに。
時代と共に「馬の専門家」だけで貴族の特権を守れる訳ではないとベネット家が気づいた頃には最盛期よりかなり仕事が減っており、貴族の中でも肩身が狭くなっていた。
輸出入で大儲けした豪商たちの方が豪奢な暮らしをしているのを見て当時の当主アルバート・ディル・ベネットは「今まで先祖代々の努力は何だったのか」「人々は馬ではなく黒い空を選んだのか」と嘆いたという。
20世期
20世期初頭
そして20C初頭。
スラナ事変から普通選挙法施行までを含めて「カンテ革命」と呼ばれている。
その中でベネット家は功を焦った所為で、国王とクーデターに振り回されて要らない面倒ごとに巻き込まれて碌を減らされた。
出来るだけ目立たないようにした方がいいのではと気付いたのはこの頃。
貴族のプライドを壊さんとする民衆と司族の圧力によって他の貴族共々共和制を受け入れる事になるが、この時も長いものに巻かれる感覚だったらしい。
領地の没収と再配分、議会による知事の任命、臣貴院への出席。
新しい政府に変わった時に既に減っていた給金が更に減らされ、臣貴院への出席や関係する出費でベネット家の家計は火の車になっていった。
政治面であまり活躍の場が見出せない中、見た目の維持にこだわるしかなくなっていく。
貴族ではあるものの、現代の貴族の仕事ができているかと言えばそうでもなく、かと言って自ら貴族身分の返上をして一般市民になる勇気もない。
そんな中途半端な家はベネット家だけではなかった。
スラナ事変から普通選挙法施行までを含めて「カンテ革命」と呼ばれている。
その中でベネット家は功を焦った所為で、国王とクーデターに振り回されて要らない面倒ごとに巻き込まれて碌を減らされた。
出来るだけ目立たないようにした方がいいのではと気付いたのはこの頃。
貴族のプライドを壊さんとする民衆と司族の圧力によって他の貴族共々共和制を受け入れる事になるが、この時も長いものに巻かれる感覚だったらしい。
領地の没収と再配分、議会による知事の任命、臣貴院への出席。
新しい政府に変わった時に既に減っていた給金が更に減らされ、臣貴院への出席や関係する出費でベネット家の家計は火の車になっていった。
政治面であまり活躍の場が見出せない中、見た目の維持にこだわるしかなくなっていく。
貴族ではあるものの、現代の貴族の仕事ができているかと言えばそうでもなく、かと言って自ら貴族身分の返上をして一般市民になる勇気もない。
そんな中途半端な家はベネット家だけではなかった。
現代
30年前、シュエリオ大陸戦争が勃発。
いろいろありそうだが、大陸戦争の約5年間特に何もしていない。
しなかったというより、余裕がなく見守りに徹していた。
良くもなければ悪くもない存在でいれば貴族身分にしがみついていられる、と保身に走った結果である。目論見通り、影の薄くなったベネット家は戦後処理でも特に目を付けられる事なく、貴族の優先権はなくなっても今まで通りの安い給金が支給され続けた。
貴族としての見た目維持＋ベネット家のお家芸である馬術のマスターをすると、かなりの金額をそこで費やしてしまうので、生活費が減っていく。
ほぼ公務員に近いとまだベネット家は気付いていない。
……否、公務員より条件が悪いかもしれないと気付きたくないだけかもしれない。
しっかり政治的な足跡を残し、まともに仕事をして暮らせる貴族は2大家だけになった。
22年前。
大陸戦争終結からおよそ3年。
待ちに待ったベネット家の次代当主、ギルバート・ホレス・ベネットが生まれる。
彼の活躍はもっとずっと先のことーー
いろいろありそうだが、大陸戦争の約5年間特に何もしていない。
しなかったというより、余裕がなく見守りに徹していた。
良くもなければ悪くもない存在でいれば貴族身分にしがみついていられる、と保身に走った結果である。目論見通り、影の薄くなったベネット家は戦後処理でも特に目を付けられる事なく、貴族の優先権はなくなっても今まで通りの安い給金が支給され続けた。
貴族としての見た目維持＋ベネット家のお家芸である馬術のマスターをすると、かなりの金額をそこで費やしてしまうので、生活費が減っていく。
ほぼ公務員に近いとまだベネット家は気付いていない。
……否、公務員より条件が悪いかもしれないと気付きたくないだけかもしれない。
しっかり政治的な足跡を残し、まともに仕事をして暮らせる貴族は2大家だけになった。
22年前。
大陸戦争終結からおよそ3年。
待ちに待ったベネット家の次代当主、ギルバート・ホレス・ベネットが生まれる。
彼の活躍はもっとずっと先のことーー
まとめ
- ベネット家は馬術と馬の育成方法の技能で貴族になった
- 祖国から初代が持ち込んだ貴族服が大流行し、当時の服は丁寧に保管されている
- 馬の扱いが上手な一族なので国交相の地位にいた頃もあった
- 蒸気機関の普及と共に馬の必要性が下がり、ベネット家の威信も下がった
- 革命後の新政府の政策により、上部を取り繕うだけの貧乏貴族になった
- 大陸戦争時も特に何もせずにいたし、余裕もなかった
考察
ギルくんが貴族衣装にこだわるのは、かつてベネット家が栄華を誇った初期の頃に憧れがあるからだと思われる。生まれた頃には貧乏貴族だった故と考えられる。
「貴族だから民を救うのが義務」というのは単なる責任感以上に、大陸戦争時に何もしていない言い訳だらけの当時の大人たちへの怒りがあるからかもしれない。
「貴族だから民を救うのが義務」というのは単なる責任感以上に、大陸戦争時に何もしていない言い訳だらけの当時の大人たちへの怒りがあるからかもしれない。
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