Twitter創作企画「薄明のカンテ」のまとめ。世界観の説明に始まり、小説・イラスト・漫画・音楽その他、創作企画で生まれた作品を掲載する場所。

概要

このテロの首謀者。
2年前に恋人が駅で発作で倒れても誰も手を差し伸べてくれず、亡くなってしまった事から機械人形を使った人間の殲滅を計画する。
ミクリカの惨劇後に投稿された動画では骨と皮の様にやつれ、緑のチェック柄のシャツの上に黒いパーカーを羽織っている。
若くして様々なプログラムを開発し、大学は飛び級し、驚きの論文を発表した人物であり、政府のサイバー対策課に最年少で入ったエリート。
電子機器関係の雑誌で紹介された業界の有名人。
雑誌に掲載された当時の顔写真は目を輝かせたふくっとした頰の青年だった。

犯行声明の動画

(「ケーキーーユーシンとシュオニの場合」より犯行声明を抜粋)
午後2時、動画投稿サイトにテロの首謀者だと名乗る男の動画がアップされた。
動画は骨と皮の様に痩せたやつれた男が白壁の部屋に入ってくるところから始まる。
緑のチェック柄のシャツの上に黒いパーカーを羽織っている。
中央に置かれたパイプ椅子に腰を下ろすと「私はギロク…25歳だ。」と名乗った。
「今回の機械汚染を始め、テロを計画したのは私だ。」
虚ろな目をカメラの向こうに向ける。
「目的はこの国の人間の殲滅だ…私はほとほと人類というモノに幻滅した。」
淡々とした話し方から彼の絶望が垣間見える。
「人間どもは動物も空気も資源も好き勝手に使い地球を食いつぶしている。君らも長く叫ばれてきた地球温暖化やら資源の枯渇やら聞いてきただろう。」
最初に比べると心なしか目に力が入っているように見える。
「挙げ句の果てに仲間の人間すら見殺しにするんだ。2年前だ……私の恋人は駅で発作が起きた時、誰も手を差し伸べてくれずそのまま亡くなってしまった……」
一瞬遠い目をした男に哀愁が漂った。
「人間は哀れなものだな。機械人形には人を助ける本能が埋め込まれているが、主人の命令を聞き遂行することが優先事項な所為で近くに寄ろうともしなかった。そのプログラムを書いたのもまた人間だ。故に!私は人間を殲滅する。機械人形は悪くない、悪いのは自分可愛さに保身に逃げる人間だ!」
はぁはぁと荒い息を吐く。やつれた顔の中で目だけが異様にギラギラと輝いていた。
「手始めにこの国の人間を殲滅する。次のテロが起きるまであと1時間だ。」
そう言い残し動画は終わる。
この動画は瞬く間に出回り数分で再生回数が10万を超えた。

人柄

情に厚く、人を大事にできる人だった。仕事では冷静沈着で効率主義なところはあったが、決して嫌な印象を与える人ではなかった。ふくっとした頬と輝く眼が印象的なマスコットのような可愛さがあった。
性格が変わったのは23歳で恋人を亡くした時だった。最初は周囲も落ち込んでいるだけだと思っていたが、徐々に様子がおかしくなっていき、人類への悪口や政府への不満を四六時中言うようになった。やつれて頬はこけ、眼は落ち窪んで虚ろになり、すっかり別人のように老け込んでしまったギロク。些細な事で怒って当たり散らすようになってから他のメンバーとの溝が深まっていき、体調不良で退職した頃には友人と胸張って言える人物はいなくなっていた。

ギロクの論文

「機械人形に良心を作る方法」
この論文に書かれた理論が応用され、一般用機械人形が安全な物として普及し、医療用や警備用の機械人形が生まれた。もしギロクがこの論文を発表しなければ、後10年は開発が遅れていたと言われる。
ムーンサンはこの論文を下地にした「月陽計画」で開発された。月陽計画の技術は後に医療用や警備用の機械人形の下地になった。

ギロクに関する真実(公表されていない)

実は3年前に本人は亡くなっている。もし生きていれば現在28歳。
体調不良による退職届けを出した後、出国しその先で亡くなっている。
データは全て改竄されており、出国したことも亡くなったことも記載がない。
3年前に今回のテロの計画を立て、ばら撒かれるウィルスを作成し、様々なサーバを経由して様々な場所にウィルスを埋め込んだ。
この計画を知った知人が阻止しようと数人で挑んだものの、ランダムに隠されたデータの場所を全て特定できず、見つけたデータすら厳重な暗証番号に歯が立たなかった。一つのデータだけ運良く解読できたものの、データそのものが暗号化されていた為、一部の書き換えが行えたのみで終わっている。

犯行声明の動画では25歳とギロクは言っているので、ギロクを知っている人は年齢が違うと気が付いている。雑誌に顔写真の掲載もされた業界の有名人なので3年前の失踪事件も知っている人は知っている。
動画が3年前のものであると公表されていないのは、3年のズレの意味を恐れた政府の統制があったから。
元々ギロクを知らない人はユーシンにように調べるしかないが、そこまで熱量を掛ける人も少数派だった。


年表
2144年1111ギロク誕生
2154年0901カンテ大学入学(9歳)
2156年飛び級を使ってカンテ大学卒業
クラウドソーシング等で民間経験を積む
2159年政府のサイバー対策課に最年少で入る(14歳)
2160年IT系雑誌のインタビューに載る
2167年恋人が亡くなる(23歳)
テロの計画を始める
汚染プログラムの開発開始
2169年犯行声明動画を撮影(25歳)
体調不良による退職届
大陸へ渡航し失踪
2173年現在(生きていれば28歳)




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