薄明のカンテ - 明るい金髪で機械の大好きな母親/涼風慈雨
ユ「やぁ、ホロウ君。おや?浮かない顔をしてどうしたんだい?」
ヴ「ミアが最近医療班で会った人の名前が思い出せないって言って、さっきまで一緒に考えさせられてた。」
ユ「結社も人が増えたし、似たような名前の人もいるからねぇ。探偵屋の私も考えるから特徴を教えてくれないかい?」
ヴ「ミアが言うには、明るい金髪で、機械が大好きな母親だって。」
ユ「エルナー君の奥さんで機械班のロザリー・エルナーじゃないかい?その特徴は完全にロザリー君じゃないか。」
ヴ「ロザリーか……」
ユ「ほら、すぐわかったじゃないか?」
ヴ「それがわからないんだ。」
ユ「何がわからないんだい?」
ヴ「私もロザリーかなって思ったんだけど、」
ユ「うん」
ヴ「ミアが言うには凄く静かな人なんだって。」
ユ「それじゃぁロザリー君じゃないねぇ。存在が騒がしいもの。」
ヴ「そうだよね。」
ユ「いつぞやの合同任務では素面で奇声をあげてたってヨダカから聞いたねぇ。」
ヴ「奇声あげてたのか……」
ユ「静かにできそうな人じゃないし、それじゃぁロザリー君じゃないね。」
ヴ「うん」
ユ「他に特徴は言ってなかったのかい?」
ヴ「お菓子作りが得意で、『機械も料理も物作りって意味では一緒だ』って言ってたらしい。」
ユ「それってロザリー君じゃないかい?涼風が『#創作っ子のお料理分布図』で言ってた内容そのままだろう?当時はキャラシが無くて私は分布図に入ってないのだけれど。」
ヴ「この間はレヤーケーキ作ってたって聞いた。」
ユ「それも涼風がボヤいてたツイートの内容だろう?これなら探し人はロザリー・エルナーで決まりだねぇ」
ヴ「それが、控えめに見えて作戦立てるのが好きだってミアが言ってた。」
ユ「それじゃ違うね、ロザリー君なら割と衝動的だよ。ただのメンテナンスなのに余計なチューンナップされそうになって逃げ回った機械人形がいるって噂があるねぇ」
ヴ「へぇ」
ユ「アサギ君は解体目的でしばらく付け狙われたって聞いたし、控えめな作戦屋ならロザリー君じゃないよねぇ。」
ヴ「うん」
ユ「フローレス君は他に何か言ってなかったのかい?」
ヴ「破天荒だけど大体の事は肯定してくれるポジティブキャラだって。」
ユ「それならロザリー君じゃないか。息子に『泣かなくて偉い』って言わない事でワシレフスキー君が驚いてたって聞いたよ?」
ヴ「ふーん」
ユ「転んだ程度で泣く理由がわからないけどねぇ」
ヴ「……煩いと殺される。」
ユ「出る杭も長すぎると抜かれるからねぇ。うん、ロザリー君が答えでいいんじゃないかい?」
ヴ「私もそう思う。けど、機械は好きだけど別に専門家じゃないらしい。」
ユ「それじゃロザリー君とは違うね、彼女は機械の専門家だもの。特に機械人形と周辺機器が得意だからって義足の整備までしてるよねぇ」
ヴ「うん。」
ユ「義足を使ってるメドラー君が熱に圧されて困ってるって聞いたのはいつだったかなぁ……うーん、どうもおかしいなぁ、迷宮入りしたらどうするんだい?」
ヴ「どうもしない。暴走したら機械人形の暴走より100倍怖いって家族が言ってたらしいけど。」
ユ「それこそロザリー君の特徴じゃないか。己の研究の為なら時間も体力も持てるもの全て投入しても惜しくない人だからねぇ。エルナー君は『いつか自分も息子も解体されないか心配だ』って言ってるみたいだし。」
ヴ「そうなんだ」
ユ「もうロザリー君で決まりだろう?あの特徴ならロザリー君だと思うのだけれど?」
ヴ「そうかな」
ユ「わかって良かったじゃないか、ロザリー君だよ。」
ヴ「それがどうも分からなくて」
ユ「わからなくないだろう?あの特徴ならロザリー君じゃないか。」
ヴ「いや、ミアが言うにはロザリーじゃないらしい。」
ユ「それじゃぁロザリー君じゃないね。フローレス君が違うって言うならロザリー君じゃないんだろうね。」
ヴ「うん。」
ユ「そう云う大事な事は先に言ってくれないかな?『#創作っ子のお料理分布図』の話をしていた時どう思ってたんだい、ホロウ君。」
ヴ「この間のプリンクレープ美味しかったなって。」
ユ「心ここに在らず。」
ヴ「ネビロスが言うには、」
ユ「ファウスト君が?」
ヴ「前線駆除班のエリック・シードじゃないかって。」
ユ「全然違うじゃないか、ホロウ君、いい加減にしてくれ給え。」