薄明のカンテ - 調達班噂話部(非公式)
 サーラ・オルソンは噂話が好きだ。双子の兄のカール・オルソンはそんな彼女によく付き合ってあげている。
 これは、そんな噂話好きのサーラが好みそうな『結社メンバーの意外な一面』をカールが独自に調査したものである。ただしサーラは噂好き故に有る事無い事、無い事無い事広めてしまう可能性がある為、ここに集められた話全てをサーラが認知しているかと言うとその限りではない。
 噂好きなサーラの為に、そして結社でせっかく出会えたのだから色んな人の色んな面を知って皆と仲良くしたいと望むカールの聞きかじった話をご覧あれ。



「前髪」の話/燐花

 人事部はいつも忙しいがこの日はところどころ談笑していられる余裕もあった。勿論仕事に集中している間は黙々とペンを動かすが、それでも好きな人を横目で追ったり好きな人の声を薄ら聞いたり。時に弟の様な可愛いタイガを顎で使ったりそんなタイガと楽しくお茶休憩もしたり。
 エーデル、ヴィーラ、シーリアは三人揃って「今日は特に問題もなく平和な一日だわぁ…」と声を上げた程には平和だった。この瞬間までは。
「あー……悪ィ、誰かハサミ貸してくんねー?ナイフでも良いんだけど」
 ガチャリとドアを開け、部屋に入って来たのは汚染駆除班のテオフィルス・メドラーだった。端正な顔立ちの男性ではあるが、職業柄普段あまり関わりが少ない事や、彼が所謂「岸壁街の出」と言う事もあり、そんなに積極的に話す方では無かった三人は一瞬状況をしっかり理解しようとして固まる。
 テオフィルスはそれを特に気にする事なく部屋を見渡し備品に目を遣った。自分の仕事を思い出した三人はハッとしながらテオフィルスに近付く。今日の彼はよくよく見るとヘアクリップを付けていた。
「あの…メドラーさん、ハサミとかナイフとかって何に使うんですか?」
 もっともな疑問をエーデルはぶつける。
「あぁ……それがさー…放置してたら伸びちまって。ヘアクリップが外れた時とかやっぱ面倒臭ぇから切っちまおうかと思ってさ」
 そう言ってテオフィルスがちょいちょいと指差したのはヘアクリップに挟まれた前髪。確かに履歴書に載せられた写真よりは伸びている気がするが。
「……そ、それ長いんですか?」
「あぁ。俺にしちゃちょっと長ぇかな。眉毛に掛かったくらいでも大分長く感じんだよ」
 そう言ってヘアクリップを外すテオフィルス。
 ほら、長ぇだろ?と本人は鬱陶しそうに髪を払うが三人はその姿をすっかり息を呑んで見つめてしまった。
 後ろ髪は長いのに前髪が極端に短いと言う一見アンバランスな髪型だったからかあまり気にしていなかったが、前髪が程良く伸びた今、中性的なその見た目が彼の目鼻立ちと相俟って大変美形に見える。鬱陶しそうに前髪を上げる仕草も大変色っぽく、普段は別の人にクラクラしている三人も思わずごくりと固唾を飲んで彼の様子を見守った。
「どうした?俺の顔、何か付いてる?」
「え!?あ、いいえ!!」
「全然!!何も!汚れとかなくて!」
「む、むしろ綺麗です!!」
 思わずそう口にしてしまうと、テオフィルスは少しだけ嬉しそうににやりと笑い、
「……ありがとな。でも俺にはエーデルちゃんもヴィーラちゃんもシーリアちゃんも勿体無さ過ぎるから、今ここでナンパするのはやめとくよ」
 そう呟いた。
 その笑顔すら、少しぐらりと来てしまう。ごめんなさいロード様と心の中で呟いた三人はテオフィルスの前髪の行方が気になったのだった。
 翌日、テオフィルスは履歴書の写真のように前髪を切り、いつもの彼に戻った。前髪が人の印象を決めると言うのはよく言われる事で、三人とも昨日程のときめきは彼に抱かなかった。
「…ねぇ。昨日の…」
「言いたい事はあれでしょ?前髪の長いメドラーさんでしょ……?」
「ま、まぁ…格好良かったけど……やっぱメドラーさんはいつもの方が安心するわよ!!」
「そうよね!?」
「そうよ!!それにやっぱり岸壁街だし…み、見てるくらいの距離感が合ってるわよ!」
「そうよね!」
 普段意に介さない人の違った姿、それによる昨日のときめきは「一時的なもの」として納得する事にした。そして三人は気付いてしまう。このマルフィ結社ってかなり魅力的な男性が多いのではないか?と。
「婚活……ここで……有り…?」
「…ワンチャン有りね…」
「いや、何なら全然有りじゃない!?」
 しかし、目線を変えればこんなに良く思える人が大勢いる。実は結社、婚活女子の穴場なのでは?と密かに思った三人だった。

お抹茶の回し者の話/燐花

 練習場で爽やかな汗を流したセリカはベンチに腰掛ける。同じベンチに向かってくる人の気配を感じ、席を譲る様に少し座り位置をずらすとそこに座ったのはロナだった。
「あ…」
「サオトメさん、今日和ぁ」
「……こんにちは。その節はどうも。今日はお着物じゃ無いんですね」
「ええ。ちょっと本格的に動きたくなりましてぇ」
 その日のセリカの服装は、動きやすさを重視したのか袴であり、帯が無い分いつもより自由な体勢が取りやすそうだった。背筋の伸びたセリカの姿を少し眺めていたロナは何を思い出したのか苦い笑みを浮かべる。それにつられる様にセリカも同じく笑みを浮かべる。二人の頭の中で蘇ったのはあの日の事だった。
「……サオトメさん、またやりますかぁ?」
「あはは……いやいや、ちょっと今日は練習場で散々しごかれたので…セリカさんの相手をするのは憚られます」
「またまたご謙遜を」
「いいえ、決して謙遜では無く…貴女には万全の体制で臨まねばすぐに負けてしまいそうですから」
 普段から和装の二人が並ぶと、ただのベンチがまるで縁側に見えてくるとは誰が言ったか。
 しかし実際、セリカとロナの座るベンチは段々とい草の敷かれたすのこの様に思えてくるし、二人が手にしている水の入ったペットボトルは熱い緑茶の入った湯呑みの様に見えて来る。
「そう言えばサオトメさん、ご存知ですかぁ?最近少しずつ街にも活気が戻って来て、物流の滞りも緩やかになった結果東國の家具や小物がお店で多く見られる様になったんですぅ」
「え?本当ですか?」
「ええ。セレモニ・デュ・テと言う喫茶店に少し前に行ったのですが、そこのお抹茶が大変美味でしたぁ」
「ああ、確かに抹茶が飲めると一気に東國感出ますよね。そのセレモニ・デュ・テの抹茶はどう言うタイプの美味しさでしたか?」
「苦味の強い…しかし顔を顰める程のものでは無くて、加えてえぐみや雑味の無いお抹茶なので最早苦味って『美味しさ』なんですよぅ。ほっとする感じですねぇ。テロの事で色々考えてしまう事、多いんですが…そのお抹茶を飲む時は無心になれますぅ」
「あぁ…凄く想像付きますねそれ…!実は俺も、そことは違う店でしたが生まれて初めて食べた抹茶はあんみつだったんです。その時は正直上に乗っていたみかん目当てで食べていましたが……父に勧められて一口食べて抹茶寒天の美味しさに驚いた記憶があります。両親が亡くなってからはあまり食べていませんでしたが、たまには食べたいですね。抹茶の美味しさを思い出してしまいました」
「ふふふ。暑い時は冷やし抹茶も良いですよねぇ。お砂糖の甘味が足されたものはお子さんでも飲めるくらい飲みやすさが増しますし、あの味は唯一無二ですからぁ」
 さて、そろそろシャワーでも浴びて参りますぅ。
 そう言って立ち上がったセリカ。ロナも立ち上がると同じくシャワーを浴びに向かった。
 一方、二人の会話を図らずも盗み聞く形になっていた周りの他メンバーは鍛錬の疲れもあってか密かにごくりと喉を鳴らした。
「な、なぁ……今の聞いてたか?」
「ミカナギさん…今日も凛としてて美しかった…」
「いや、そっちじゃねぇよ。それもあるけど、そっちじゃねぇよ」
「え?違う?」
「それ以上にさ……ミカナギさん、食レポ上手過ぎるよな?」
「何気にサオトメ君も上手かったよな…」
「二人があの格好だから余計に東國のものが美味そうに聞こえるぜ……でも苦いのに美味いってどう言う事だ…?」
「今日の帰り…行ってみる?セレモニ・デュ・テって東國のスイーツ扱ってるって言うからさ、正直ケーキとかクッキーとか好きじゃねぇし今までノーマークだったんだけど」
「苦くて美味いって想像付かないもんな」
 周りで聞いていたメンバーは、皆興味を持ってその後実際に店に赴く者もいれば通信販売で購入する者も居たり。兎にも角にもマルフィ結社宛てに東國のスイーツや雑貨が輸送される事がこの日の日付はとにかく多く、そのきっかけがこの二人だったので一時期「セリカ・ミカナギとロナ・サオトメは東國スイーツの回し者では無いのか?」と言う噂が立つくらいには彼らの言う「美味しい」の影響力は凄まじかったらしい。

ジャムパンの話/べに

「ふぅ……」
 休憩所の椅子に座ってエリック・シードは一息ついていた。
 大暴れしがちな他小隊と違い、エリックが所属する第四小隊は小隊長のロナ・サオトメのおかげで無理はしないがそれでも出動して帰ってくれば疲労感はちゃんとあるもので。総務部やら経理部への報告を終えたエリックはひと時の休息時間を楽しんでいたのであった。
「失礼します」
 聞こえた涼やかな声に振り返るとエミール・シュニーブリーが優しく微笑んで休憩所に入ってきた。エリックがのんびりしている空気を察して無言で入ってくるのではなく、わざわざ声を掛けてきてくれるエミールの優しさを感じてエリックの表情も自然と和らぐ。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
 出動して帰ると時間感覚を忘れてしまうが、改めてエリックが時間を確認すると食堂が丁度閑散となる時間だった。エミールも仕事が一段落して休憩に来たというところか。
「今日は第四小隊さんは出動だったようで、大変でしたね」
「は、はい。でも、誰も怪我人のない小規模なものだったので良かったです」
 珈琲を買いながらエミールが声をかけてくるのでエリックは上擦った声で返事をしつつ頷く。何故、エミールが第四小隊の出動を知っているのか思いながら彼を見ると、エリックの意図を理解したらしきエミールが微笑んだ。
「先程、ビクターさんが『ランチをムダにするのは嫌だから』と食堂にいらっしゃってましたので」
「ああ、そういえば食堂に行くと行ってました。すみません、時間外ですよね」
「いえいえ。早朝や深夜でない限りは給食部としては対応出来ますから」
 優しく微笑むエミールに後光が差して見えるのは、エミールの本来の職が神仏に仕えるものであると知っている故のエリックの気の所為だろうか。
「エリックさんも食事されてないようでしたら、是非行ってください」
「あ、ありがとうございます」
「今日は小麦の関係でジャムパンなんですよ」
 ジャムパン。
 何のことはないパンの中にジャムの入った菓子パンの一種である。主食としては挽麦クァ・バツが多いカンテ国であるが、全くパンを食べない訳ではないのでそれ程珍しいものではない。
「へ、へー……ジャムパンですか」
「ええ。中身はヒギリさん考案のラズベリージャムでした」
 しかし、何のことはない世間話であったが何故かエリックもエミールも少々顔色が悪くなっていた。
 一般的に『不良』と呼ばれるジャンルに属したことのある人間にとって『ジャムパン』には別の意味がある。誰も彼等の過去は知らないが、エリックもエミールも『不良』だった過去があるという共通点持ちなのだ。
 そしてそんな不良達の知る『ジャムパン』といえば、裏切り者への粛清行為の事で。
 うっかりそれを思い出した2人は素知らぬ振りをしつつも青い顔で珈琲を啜った。

何故か植物の話になってしまった話/燐花

 ふわり。
 その人とすれ違った時、その人の髪の毛からは花の様な香りがした。
「あ……」
 良い香り。
 ニコリネはほんの一瞬目を瞑り、うっとりとその上品で爽やかな甘さのある花の香りを堪能する。ぼーっと歩いていたから金髪の長い髪と言う事しか記憶に無いが、この上品な香りを携えているなんてさぞ綺麗な女性に違いない。
 そう思ってすっと目を開けたニコリネの目の前には、急に目を瞑った彼女を不審そうに見つめるギルバートの姿があった。
「おい」
「………」
「急に目を瞑ってどうした?立ちくらみか?」
「………な、なん、ななん……」
「は?」
「ななななんれもないれす…」
 サラサラと手入れの行き届いた金色の髪。充血した自分のソレとは比べ物にならない綺麗な瞳。ツヤツヤと整った、長い長いまつ毛。花の様な上品な香りが体中から漂っている気がする。
 まさかそれら全てを携えているのが男性だったなんて。
「何でもないなら良いが。僕は行くぞ?大丈夫か?」
「は、はひ………っ」
「……気を付けるんだぞ…?廊下で倒れたりするなよ」
 上品な身形と仕草に呆気に取られながらふと我に返るニコリネ。あんなに良い匂いのする男性が世の中に居るのか…と女としての自信を無くしかけたのだった。

 * * *

「──と、言う事がありまして……」
「へぇー…意外だなぁ…ベネットさんから花の匂いねぇ」
 もくもくと美味しそうにラズベリージャムの乗ったトーストを口に運ぶタイガ。思わず美味しそうなそれについつい見惚れてしまうと、タイガは嬉しそうにニヤニヤと笑った。
 …もしかしてこれは、聞いた方が良い流れ?
 結社に来てそろそろ半年以上、引きこもり時代には考えられない程たくさんの人と関わり少しは人の感情の機微を読み取る次のステップ、読み取った後の対応も少しずつ出来る様になって来たニコリネ。
 そのニコリネの勘が正しければ、「パンの事をタイガに聞いた方が良い」。答えはこれで合ってる筈だ。
「タ、タタタタイガ君!!」
「え?」
「そ、そのパンはどうしたのかなー…?なん…てね、ふひひひっ」
「え?パン?どうしたって?」
「あの…その、そのパンってメニューに無かった気がして…どこで買ったのかなぁ…?とか…美味しそうだなぁ…とか、とかとか……」
 自信が無くなりどんどん声が小さくしどろもどろしていくニコリネ。しかし、タイガの反応を見るにきっとこの質問は正しかったのだ。
 目の前にいるタイガは、心底嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。
「……あぁ、このパンね。ふふ…これね、モナちゃんがくれたんだ」
「モ、もニャルださんが!?」

 噛んだ。

「そう。ラズベリーのジャムを手作りしたから食べて欲しいって。本来のメニューに無いからこっそりねってくれたんだ。ニコリネさんも食べたい?もらって来てあげようか?」
「い、いいえいいえ私は!!お気持ちだけで…大変充分でして……!!」
 噛んだ事などさしてどうでも良いかの様に『ヒギリから手作りのジャムを塗ったパンを皆に内緒で貰った』と言う事実をうっとりしながら話すタイガ。「一口食べる?」でも無く「もらって来てあげようか?」な辺り今あるこれを譲る気は微塵もないのだろう。分け与えたく無い程にそんなに好きなのか、ジャムパンが。
「ジャムパン、好きなんだねえー…!!」
「うん、ラズベリーのジャムパンは最近特にね。知ってる?ラズベリージャムってローズマリーが使われる事があるんだって。オレ好きなんだよね、ローズマリー」
「は、はぁ……」
 うっとりとした表情でねっとりとした口調でローズマリーの名を口にするタイガ。
 不思議だなぁ。陽キャと言う生き物に関してはまだまだ馴染みなく勉強中だが、花を愛でるのが陽キャのステータスなのだろうか?
「ニコリネさんはローズマリー好き?」
「あ、えっと…そ、そんなに意識した事は無い…かなぁ?ふひひ……」
「ふーん」
「え、えっと、どっちかって言うと植物の生態で一番感動したのは柘榴だったなぁって…へ、へへ……」
 実は先程からただただ植物の話にシフトしていたニコリネ。彼女にとって印象的だった柘榴はミソハギ科の植物で、花がタコさんウインナーの様な形をしていて親しみやすいとニコリネは思ったし、その上実は栄養豊富で実際古来より人々の生活に密接していた果物だった。柘榴の実を絞った汁が血の様だの人の肉に味が似ているだの神話で語られているが、逆を言えば古い神話に取り込まれる程人間と近しい位置にそんな大昔の頃から生息していた事になる。
 たかが植物されど植物。この柘榴と言う植物の「人の役に立つ度合い」を見、「私の役立ち度はどうせ柘榴以下だから…」と腐りかけた事もあったなぁと言うのは今では笑い話だ。
 だから柘榴の方が印象深かったと語るニコリネに心穏やかでいられないのがタイガだ。彼のディーヴァ×クアエダムに関して特に優秀な脳味噌は瞬時に柘榴から不動のセンター、ソフィア・マーテルを連想した。
 柘榴。
 柘榴を持つ姿をよく描かれていたかつて他国の王朝に実在していたとされる王女。
 その王女と同一視されていた神話の女神。
 別の神話でこの女神と同一視されていた別の女神。
 この女神の名前にはマーテルが付く。
 ソフィア・マーテル。
 ──そんな具合に。
 そしてこの優秀な脳味噌はその様な半無理矢理な連想ゲームから、「柘榴は実はソフィア推しのニコリネの匂わせなのでは?」と導き出した。ここまで三秒足らず。
「ニコリネさんってさ……」
「は、はいっ!!」
「…好きなアイドル居る…?」
「え!?…あ、アイドル…!?」
 頭の中で色々と考えに考え、最近流行りの人が誰か、タイガみたいな陽キャなら一体どんな子をあげれば盛り上がってくれるか等々色々考えてはみたものの結局全く分からなかったニコリネは力みまくった頬を何とか歪んだ笑顔の様な形に仕上げ、
「よ、よく分からないんですよね…アイドル…ふひひ…」
 と、最終的に無理な誤魔化し笑いに努める事になったのだが、ニコリネの匂わせを疑っていたタイガの中ではその疑いが晴れたので彼はいつもの様に無垢な笑みを彼女に見せた。
「そっか!」
「は、はい…!ふひっ」
 お察しの通り、当初話されていた「ギルバートの良い匂い」の話題なんてどうでも良くなる程に濃いアイドルトーク、もとい匂わせによる水面下の攻防が行われかけて居た食堂。
 実は限界アイドルオタクの素質すらあるタイガだが、幸か不幸かそれを目の前にしてもニコリネは彼のその素養には気付かなそうである。

I'm looking forward to hearing all your stories.