薄明のカンテ - 唇が紡ぐ物語/燐花

エルナー家の場合

「それじゃあ私はフランソワを送ったらそのまま仕事に行くから久々の休日、ゆっくりね。フランソワ、お母さんに行ってきますは?」
「お母さんっ!行ってきまーす!」
「気を付けてね、行ってらっしゃい」
 ベルナールとフランソワに行ってらっしゃいのキスを一つずつ、ロザリーは手を振って二人を送った。二人が扉の向こうに見えなくなった瞬間、言いようの無い不安がロザリーを襲う。自分は機械いじりが好きで、機械人形も好きだ。研究をするのも大好きなのだが、ゲリラ攻撃にフランソワが巻き込まれたのを見た時に「これが今の現実である」と強く感じてしまった。
 ──私の大好きな物に、私の世界で一番大切で大好きな物が奪われるかもしれない世界。
 もしも神様が居るとしたら、誰の趣味でこんな残酷な事になっているのだろう?この国には自分の様に機械人形が大好きで、機械人形と共に生きて来た人が多くいるのにその人達から一生の友を奪う様な、友を憎まなければ居られない様な世界にしてしまうなんて。
 不意に大学の生徒達の事を思い出す。あの子達は皆元気だろうか。卒業して久しい子達も居る。そんな子の中には、機械人形の傍で機械人形と密に関わる仕事をしていた子も多く居たはずだ。その子達の安否を全て把握しているわけでは無い。
 だからロザリーは時々おそろしくなる。今まで人生で関わって来て何の苦難も無く楽しく機械と戯れてくれと願った子達が、一瞬でその光を散らす事もあるのかもしれないと。
 それが他ならぬ機械人形愛した友の手によって──。

 恐ろしい思考の坩堝に嵌っていると不意に端末が音を鳴らす。着信はベルナールからで、おそらく今フランソワを送り届けたであろう時間だった。
「どうしたの?ベルナール…」
『ああ、今フランソワを保育部に預けたよ。これから私も仕事に行くね』
「う、うん…?」
 普段そんな報告の電話などして来ないのに、珍しい。そう思いながら返事を返していたら電話向こうでベルナールが『やっぱり』と呟いた。
『…ロザリー。良かったら今日お昼は外に出て来ないか?私と一緒に食堂で食べよう』
「え?食堂…?」
『ああ。せっかく君が休みで、今日はいつもよりは一緒に昼食を摂りやすいかと思ってお誘いしているんだけど、どうかな?』
 この誘い方。出会ったばかりの頃からずっと変わらない。ロザリーは昔を思い出して少し恥ずかしそうに微笑むと「喜んで」と返事を返した。

 * * *

 食堂に向かう前に敷地内にあるコンビニでお弁当を買う。食堂では手作りの食事が摂れるが食券を前日に買っておく必要があったので、持っていないロザリーはコンビニでお弁当を買ってからそれを持ち、ベルナールの元へ向かった。
「ロザリー」
 決して大きい声ではなく、しかし優し過ぎず。いつもの頼れる彼の声がロザリーの耳に届く。ロザリーはベルナールの姿を捉えると、嬉しそうに彼の元へ歩み寄った。
「お待たせ!」
「あはは、それは私のセリフだろう?」
「良いじゃない!昔みたいで!」
 昔はよく、夜通し研究に没頭した結果デートに遅れる事が多かったロザリーの第一声がそれだった事を思い出し、ベルナールもにこりと笑う。束の間、結婚前の空気を味わいながら昼食の乗ったトレーを持ったベルナールはキョロキョロと席を探した末にロザリーに一言「中庭に行かないかい?」と呟いた。
「中庭?」
「ああ、たまには外で食べるのも良いかと思って。テラス席にでも行こうじゃないか」
「あ!ラシルム調のお洒落なウッドデッキ!確かにあそこでご飯食べれたら最高ね!」
 幸い、中庭には先客はおらず二人はゆったりと向かい合わせに腰を落ち着かせ食事を広げた。ベルナールはロザリーの手に持つものがコンビニ弁当だと気付くと「あっ」と声を上げた。
「それ、先日三人で出掛けた時に見て美味しそうって言ってたお弁当だね」
「そうなの!最初は今日の分の食券買いそびれちゃってたからどうしよう?って思ってたんだけど、そんな時だからこそこれ食べようって思って!」
「良いじゃないか。美味しそうだね」
 いただきまーす!と元気良く一口ぱくりと口に運ぶロザリー。彼女の頬に付いた炒麦エル・バツをそっと手で取るとベルナールはくすりと微笑んで愛おしげにそれを口に運んだ。
「さて、何があったかな?」
「え?」
「今日、ちょっと元気なかったんじゃないかな?と思ってね」
「どこでそう思ったの…?」
「強いて言うなら、行ってらっしゃいのキスの時かな?」
 出掛けに二人の頬に零したキス。それだけで異変に気付いてしまうなんて。
「…えー?何で分かったのよー…?」
「キスした後の顔かな…?何か、少し笑顔が翳っているように見えてさ」
 何年夫婦やってると思ってるの?と言わんばかりに悪戯めいて笑うベルナール。ロザリーは席を立つとそっとベルナールの横に座り、彼の腕に自分の腕を絡ませ肩に体重を掛ける様に凭れた。
「……ありがと、ベルナール」
「うん。何があったの?」
「いつもみたくね、行ってらっしゃいってしたのは良いんだけど…不安になってしまったの…」
 この世界の大好きなもの。この世界で自分より大切なもの。危険と不安と、幸福と安心と。今はそれらが世界でアンバランスに混在していて、ふとしたボタンの掛け違いで悲しいことが起きるのでは無いか。そんな風に思う。
 そうロザリーが説明すると、ベルナールは「答えの出せない、難しい問題だね」と呟いた。
「答えは出せないけれど、やるべき事は知っているよ」
「やるべき事?何かしら?」
「マルフィ結社の機械班として機械人形と人間が再び手を取り合える世界を目指す事。そして、君やフランソワをこの世界で愛し続ける事、愛せる日常を楽しむ事」
「あら。前者はとにかく、後者は普段からやっている事だわ」
「そう、だから普段愛してる様に愛せば良いのさ。それだけで充分だよ」
 そう言って、尚肩に凭れているロザリーの手に自分の手を重ねる。そして目と目が合うと、どちらからともなく愛を確かめる様にキスを交わす。
「……ご飯の続き食べましょ!そう言えばお腹ぺこぺこだったの!」
 朝のキスは不安の色が見えた。けれど、もうロザリーにはいつもの彼女の笑顔が戻り、ベルナールも嬉しそうに頬を緩ませた。
 母だろうが、妻だろうが、何の立場だろうが。こうしてたまには一人の人間として愛する人と向き合う時間も重要だ。
 次の日、いつものマッドサイエンティストな顔を見せ仕事に没頭出来ているロザリーを見ればそれが如何に大事か分かるだろう。

昔のロードと彼女の場合

 不意に目が覚める。まだ夜だ。部屋の中は闇と静寂に包まれ、ベッド以外何も見えない。
 しかしそれが幸福でもある。辛うじて視界に捉えられたベッドと、そこで眠る彼女の顔を見てロードはそんな事を思った。
「まだ…三時ですか…」
 日の出までには時間がある。何故起きてしまったのかは分からないが、もう一度眠るか。
 ロードは布団を被るともぞりと体を動かした。
 ふにっ、と柔らかい何かを背中に感じる。
「ん…?」
 するりと腕を回され、寝ている彼女に抱き付かれた事に気が付いた。と言う事は、背中に当たっているこれは彼女のテナ山豊満な胸である。
「……うふふ」
 たったこれだけの事でロードの体の準備・・・・は万端になる。しかし、悲しいかな数時間前に思い切り体力を使って気絶する様に寝てしまった彼女の事を思うと自分が準備万端だからと言って今起こすのも偲びない。
「放置プレイですか……これもなかなか…」
 とは言え数分後には少し萎え、眠れないから起き上がって本でも読もうかと考え始めたロード。そう言えば先日、ホセ・ガルシアの『水たまりスケッチ』を外に出た時に購入した事を思い出す。
 岸壁街の様にまともな生活を送れる子供の方が少ない中で、彼女は字が読めた。正直ロードは驚いた。彼女を囲い、体を重ねる毎日だが月に一週間程それが出来ない身体的な問題が起こる。その期間、折角だから勉強でも見てみようかと幼児向けの絵本や易しい言葉遣いの本を多く揃えてみたが、意外にも彼女はあっさりそれを読んでしまったのだ。
 何故読めるのか?と聞けば、娼婦達が教えてくれた、と。
 しかしそれ以上に、何となく勉強と言う面において彼女の飲み込みが早いのだろうと察し、電子世界でおすすめの作品を検索しては外で色々購入して部屋に置いてみた。難しい言葉は「これ何?」と聞かれるが、それも一度教えれば嬉しそうに覚えてすぐまた本の世界に没頭していたので、いつしかロードが外で本を購入し、彼女がそれを読むのは日課の様になっていた。
 その期間・・・・、彼女はいつも以上に怠そうに椅子に座っている事が多いので、ロードは先に自分が椅子に座ると彼女を足の間に座らせ、後ろから抱き締める様にして手でお腹を温めてやる。そして後ろからそっと、リラックスして本を読む彼女を見るのが好きだった。テレビを見るフリをして彼女の横顔を盗み見ると、いつもより少し伏せられた睫毛がたまらなく愛しかった。
 そんな彼女のお気に入りは意外にもミステリーで、リーブル・ルブランの作品が特に好きなのだそう。『黒髪少女は微笑まない』を読んでこの作品の雰囲気を気に入っていた様だから、いつかもしここから出て外で生きて行ける未来が叶うなら聖地と言われたモンパ村とルナス村に連れて行ってあげても良いかもしれない。
「んー…やっぱり眠れないし今少し本でも読みましょうかね…?」
 名残惜しいが、起こさない様にそっと腰に回された手を解き、布団の中に入れてやる。一瞬ピクリと体を動かしたものの、彼女はまたむにゃむにゃと深い眠りに落ちていった。
「うぅー…んぅ……」
 そしてぐりんっ、と寝返りを打つ。堂々と大の字になってぐうぐう寝息を立てる彼女の姿にロードはぷっと吹き出した。布団からはみ出た乳房は大人と見紛うくらい立派なものなのに、その立派なものの持ち主はまるで赤ん坊の様な寝姿で若干口も開けて寝ているのだから。
 こうして見るとまだまだ幼いな、と思いながらロードは隠す様に布団を掛け直す。同時に、本当はまだこんな幼い面があるこの子を淫靡な世界の当事者にした罪悪感も湧き上がった。
「あ……」
 その時、彼女の唇が艶々と輝いて見え、ロードは吸い込まれる様にそれに見入った。
 キスが、したい。この子のこの唇に。
 しかし、それは彼女が本当に自分を愛してくれ、自分も彼女を安全なところに連れて行くという漠然としたこの夢が叶ってからでは無いのか?とも思う。一種の願掛けだ。
 どこに唇を舌を這わせようが、その願掛けがあるが故に触れた事のない彼女の唇。こんな形でも体を重ねてしまえたからこそ、唇だけは彼女の意思を尊重したいと思った。彼女が「良い」と言ってくれるまでいくらでも待とう、と。例えば死ぬまで時間が掛かったとしても、来世まで持ち越したとしても。
「ん…ロード?」
「おや?起こしてしまいましたか?」
「あれ…?あれ…?私生きてる…!?」
 がばっと体を起こす彼女の口から飛び出た恐ろしい単語。一体どんな夢を見たと言うのだろうか。
「どうしました?」
「何だ、夢か……何か…水没する夢見た」
「そんな物騒な…」
 読もうと手に取った本を棚に戻すとロードはベッドに入り込む。ただの夢の話だ。しかし、水没だなんて物騒な。もしも彼女の事が見付かって、ボスが下す決断の中に「水没」があったらと考えると心臓が止まりそうになる。何故ならここはミクリカ湾に面した吹き溜まりの街だから。
「……ロード?」
「……」
「どうしたの?」
 ロードに抱き締められた彼女は、彼のその大切なものを放さんとするかの様な抱え方にきょとんとした。いつもの様に見つめ合ってからする様な抱きしめ方ではなく、ただただ存在を、肌の温もりを、生きている事を確かめる様なそれは悲痛な叫びの様に思えた。
「ロード…?」
「…怖い夢見ましたね。でも、見た貴方以上にそれを聞いた私が何だか怖くなってしまいました…」
「ロード…」
「居なくならないでください…絶対に…」
「…うん…」
 ロードの背中に手を回し、とんとん叩いてやる。昔、落ち込んだ時によく親代わりの娼婦達にやってもらった事を思い出してやってみた。
 ロードは彼女の背中に腰に手を回し、ぎゅう…と力を込める。そしてそのままぐぐぐ…と優しく力を込めて彼女をベッドに押し倒した。
「…すみません、勃ちました」
「………さっきから何かお腹に当たってると思ってた…」
「うふふ…起きたばかりで、ついつい…」
 言いながら脳裏に『彼女の水没』と言う嫌な想像が過り、ぞっとする。もしも本当にそんな事が起きてしまったら。果たして自分は彼女の為に何が出来るのか。本当の意味で彼女を幸せに出来るのだろうか。
「……抱いて良いですか?」
「え、聞くの…?」
「ええ…はい…。嫌なら止めて寝ようかと思いまして」
「別に……良いけど…変なの…」
「うふふ、確かにらしくなかったですね。何だか調子が狂いました」
 そう言いながら照れ隠しの様に彼女の髪を指で弄ぶ。そしてしっかり視線を絡めると、ロードは優しくにこりと微笑んだ。
「ヴォイド……ここに居て…」
 この日が俗に言うキスの日だったと後に気付いたロード。せっかくなのだからこれを理由にキスを交わせていたら良かったかな?とも思ったのだった。

マルムフェ兄妹の場合

「今日はキスの日って言うんだって」
 一体何に感化されたのか。可愛い可愛い妹からの突然の申し出にアルヴィは固まった。大学が長期休みに入り里帰りして顔を見た第一声がそれなのだ。固まっても致し方ない。
「知ってる?お兄ちゃん」
「えー?し、知らな……」
 そう言い掛けてアルヴィはまた固まる。一体どう返事をするのが正解なんだ?知らない、と答えてもしも可愛い妹に「え?遅れてる…」とか言われた日には立ち直れないかもしれないし、かと言ってこの話からキスに興味を持って好きな男の子と…など考えたら相手の子に風穴を空けかねない。
「んー…外の世界に詳しいの、お兄ちゃんしか居ないんだもん…じゃあ他に何か面白い話無いの?」
 ウルリッカの興味がキスから逸れた。アルヴィが嬉々として何か無いか考えていると「あー、キスの日?」と要らぬ世話を焼く者が。高校から帰宅したであろうイェレニアスが缶ジュースを片手に背後に立っていた。
「イェレ兄、お帰りなさい」
「…イェレ、買い食いして帰って来たの?」
「ただいま。暑いし喉乾いたから飲み物買っただけだよ。今時買い食いでめくじら立てるの集落コタンの爺様にも見ないけど?」
 そう言いながらトトトト…とリズミカルに端末を弄るイェレニアス。クラスの友達にしては随分嬉しそうにな顔でメッセージを打っているものだ。
「イェレ兄、彼女出来たんだよ」
「えええっ!?」
「そんな驚く事無いよ。まだ彼女って言っても一緒に帰ったり一緒にお弁当食べたりそんな程度だからさ」
 やけに大人なイェレニアスはそう言ってまた嬉しそうに端末を弄り始める。そんな弟と可愛い可愛い妹を見てアルヴィはふとある事に気が付いた。イェレニアスの「彼女が出来た」と言う話題からウルリッカがキスに興味を持ったのでは無いかと。
「彼女が出来た」と言う事は自分が里帰りする前からウルリッカとイェレニアスの間で周知の事実になっていた。ウルリッカは集落コタンの事しか知らないが、その流れで外の世界で「キスの日」なるものがあると知りどう言うものか興味を持った。
 だとしたらこれは由々しき事態だ。兄弟の居る子は上の子の影響か諸々意識するのが早い傾向にあると聞くが、ウルリッカがそんな事を意識するだなんてアルヴィとしては一番望んでいない事だった。
「ウルちゃん」
「何?」
「キスはね、十八歳までは他人としてはいけないんだ…」
「……え!?」
「家族以外の他人とキスするのはね、キスをした瞬間相手の体内から毒を移されるわけで…」
 イェレニアスは「またウルに変な事吹き込んでるよ」と内心呆れたものの、彼もまた可愛い妹が好奇心から傷付く様であって欲しくないので、さり気なく否定しつつフォローに回る。
「ウル…流石に毒はアル兄の言い過ぎだから信じなくて良いよ」
「嘘なの…!?」
「だってそうだろ?人間に毒は無いよ」
「あ、そうか」
「で、でもウルちゃん!本当に好きな人とが一番良いからね!ウルちゃんが好きになってお兄ちゃんも好きになった人とが良いよ!それが良いよ!そ、そのくらい慎重に行かなきゃ!」
「何でお兄ちゃんまで私の好きな人を好きにならなきゃキスしちゃいけないの?」
 自分も経験があるのか大変微妙なラインのアルヴィが語っているのを尻目にイェレニアスは一人、先程までメッセージのやり取りをしていた可愛い彼女の事を思い出していた。
『今日ってさ、外の大学に通ってる兄が言うにはキスの日らしいよ』
 そう打ち掛けて、やめた。
 ちゃんと自分でその話を振って、彼女の反応を見ながらキスして良いか聞いてみよう。密かにそう考えていたらウルリッカがとんでもない豪速球を投げてくる。
「イェレ兄はもうキスしたの?」
「は!?」
 まさに今悶々と悩んでいたところを打ち抜かれ流石のイェレニアスも大きな声を上げる。途端に足速にアルヴィが近付き、イェレニアスにそっと耳打ちした。
「イェレ、適当に返して。ウルちゃんが興味を持たない様に」
「…アル兄はさっきから方向性おかしいだろ!」
 仲の良い三兄妹のウチャロヌンヌン談義は三人が三人とも各々甘酸っぱい期待と不安に思いを馳せたところでお開きとなった。
 そこから約十年後。マルフィ結社に入社したウルリッカは、後に入社したアルヴィの機械人形、シリルから『ウルちゃん、キスの場所によって意味があるのよ』と前線駆除班リンツ・ルノースの待機室で教わった。
 シリルの目的は主人マキールであるアルヴィに対してウルリッカが親愛のキスをしないかと言う淡い期待を込めたものだったが、彼女が実際にそれを実行しようとしたのは体躯約二メートルの静かな巨人と言う結果だった。
 それでもアルヴィは、まだ心配する事をやめない。