たまには彼らにスポットを当ててみる。
シリル「というわけで題名通り、
機械人形だけの座談会、やるわよー!」
ノエ「ネリネさんが来たことで男性型、女性型、無性型が揃いましたからね」
ネリネ「作者曰く『パラグラフ14だから人間ぽくなっている点があってもご了承下さい』との事です」
シリル「といってもワタシ達が話すコトって何かあるのかしら?」
ノエ「口調練習のようなものですからねぇ。僕達に女性の胸囲の趣味を聞かれても困りますし……ああ、僕は女性の胸囲が如何様なサイズでも構いませんよ? どの大きさにも魅力はある訳ですから」
シリル「そもそも胸の大きさの好みなんて
機械人形には登録されてないでしょ?」
ノエ「学習の結果、そのように述べるのが波風が立たないと判断しましたので」(にっこり)
ネリネ「私はもっと欲しかったです」
シリル「あら、ネリネちゃん。全く無いワタシに対する挑戦かしら?」
ネリネ「シリルは無性だから良いのです。何が『掴めば消える傾城の乳は尊いのですぞ、デュフフ』なのだか……
主人の馬鹿嗜好は理解出来ません」(『武玉川』より)
ノエ「現実世界といえば古い資料で恐縮ですが『イタリア人は広い骨盤に、アングロサクソン人はしっかり充実したたわわな乳房に、フランス人は脚線と高い位置にある乳房に、ドイツ人は肩と低い位置にある乳房に、アフリカ人は尻に、中国人は足に、そして日本人は小学生の股に性的執着を持つらしい』というくらいですし日本人オタク思考の
主人様では仕方ないことなのでは?」(マルタン・モネスティエ『図説 乳房全書』より)
シリル「うちの
主人のバートだって『乳房が貧弱だからといって何だと言うんだい? 僕は好きだ。だって胸が平らな方が心には近いからね』って言ってたもの(その後リアには叩かれていたケド、黙っておきましょう)」(ルイ・ブーイレの迷言)
大人型2体に諭されて納得しかかるネリネ。しかし、そんな彼女の脳内に教科書でもお馴染みの人物が降臨した。
ネリネ「……『胸の貧相な女は男になりそこねた女である』」
それは、かの有名なジャン=ジャック・ルソーの言葉である。
ピシリと顔を固まらせたシリルがネリネの両肩を掴んだ。
シリル「ネリネちゃん、それはココを出ても絶対にウルちゃんに言っちゃダメよ? むしろ今すぐココで
削除してちょうだい」
ノエ「食堂でも禁句ですからね。モナルダさんの悲しい顔は見たくないでしょう?」
はたして、機械人形法「機械人形は人間に危害を加えてはならない」はココには適用されるのでしょうか? そんな疑問を抱きつつ、大人型2体の必死の形相にネリネはコクコクと首を縦に振る。
シリル「ふぅ……意外とワタシ達でもチチトーーク!出来たわね」
ノエ「ネリネさんのおかげでしょうね」
ネリネ「
主人の嗜好が異常というキャラ設定なだけです」
シリル「嗜好といえば、髪色も
主人の嗜好なのね」
ノエ「おや。僕は癒しの色としての緑色ですが、ネリネさんはまた違う理由が?」
ネリネ「『緑は不人気ですぞ!でも小生はそんな緑キャラが大好きなのですぞ!』との事でした」
シリル「某キュアでも緑が女児に人気が出なくて苦戦しているらしいものね。カンテ国の『ピアルル』の緑は『バブみを感じてオギャる』感じだから案外人気ありそうだけれども」
ネリネ「『バブみを感じてオギャる』のはメインターゲット層の女児ではなく……うちの
主人のような連中だと思います」
ノエ「『ネリネの
主人は不人気を推したがるタイプのオタクです。人気が出ると古参顔する面倒なタイプだと思われます』だそうです。食通気取りで
蘊蓄を並び立てる迷惑な人間みたいな感じでしょうかねぇ……はたまた『シェフを呼べ』と呼んでおいて
機械人形と分かると嫌な顔をするお客様か……」
闇深い目になるノエ。過去の記憶は
削除されているはずだが、此処はパラグラフ14。何でもアリである。
シリル「それにしても
機械人形だけだと恋愛トークも出来ないからつまらないわねー」
ノエ「実は……というのも僕達にはありませんからねぇ」
ネリネ「恋愛なら、私はシュニーブリーさんを見学しているのが非常に楽しいです」
ノエ「それは同意ですね。つい微笑ましく見てしまいます」
シリル「でもエミールが毎日ヒギリに惚れてるのを見てたら、ノエとしては
主人の恋路が心配にならないのかしら?」
ノエ「あれだけ惚れて散ってを繰り返していたら心配にはならないですね。シュニーブリーさんが本気でヒギリさんだけを愛するようになったら心配ですが……」
ネリネ「そんな時が来るんでしょうか」
日頃のエミールさんを思い出して遠い目になる給食部
機械人形コンビ。それだけで何かを察したシリルは何も言わないでおいた。
ネリネ「そういうシリルさんの
主人はどうですか?」
シリル「アル? あのマトモに異性と会話の出来ない
主人に恋愛はまだ難しいんじゃないかしら。結社で一番喋った異性は今のところ
アンちゃんだけど、喋れたっていう行為が嬉しくて浮かれてる感じだもの」
ネリネ「異性と話すだけで浮かれる……私の
主人の空気を感じます」(ドン引き)
シリル「確かにアルも山神様オタクだから、ネリネちゃんの言うオタクと同じところはあるとは思うわ」
ネリネ「これは本編でも私はシリルの
主人とは分かり合えないという事ですね。残念です」
ノエ「うちのタイガもある意味ではアイドルオタクというやつなんですがネリネさんは大丈夫ですか?」
ネリネ、
固まる。
彼女の中ではオタクと名のつくものは何でも気持ち悪いという反応と、今後の円滑な
機械人形関係においてノエの
主人を「気持ち悪い」と言ってしまった場合のデメリットがせめぎ合っていた。
その結果。
シリル「きゃー!! ネリネちゃん、しっかりー!」
ノエ「
機械班へ運びましょう。出口は何処ですか!?」
ネリネ、オーバーヒート。慌てる大人型2体。
――バタバタと3体の
機械人形が空間から立ち去り、終幕。
尚、ネリネはパラグラフ14から出た瞬間に治ったものの、そもそもの原因を忘れて首を傾げることになる。