薄明のカンテ - ヘイル家の記憶

ヘイル家の概要

外様貴族で御家芸は羊の繁殖。
羊達は防寒のための服飾として、また肉としてカンテ人の生活の糧となっている。
一族の中では政治家になる者もいる(いた)が、有名どころのポジションに登りつめた者はほぼいない。
馬の一族」と同じように、こちらも「羊の一族」と呼ばれる。蔑称として呼ばれ始めたのだろうが開き直って受け入れている。
化学繊維が台頭したり、食生活が異国のものを取り入れたりして変わりつつある現代において需要は減りつつあるものの未だ羊は需要はある。
とはいえヘイル家自身はそれで稼ぐことなく(お家芸で稼いではいけない貴族の規則の為)、原種を保つ為に飼っている程度なのであるが。

18世期前半

入植と共にヘイル家祖先が羊をカンテ国へと持ち込んだ。
それ以来、他種との混血を行わずに育てられた純血の羊であり「カンテラム」と呼ばれる。
ベネット家と同じく以前に住んでいた国の名前は不明。

戦争時には服や食糧としてラムが貢献したので貴族にして貰えた。
この時、同時に貴族に昇格したベネット家により世の中には貴族的な衣装が流行したため同じ服飾の面では活躍できなかった。
ただ、当時の当主も呑気な性格だったのでベネット家由来の貴族衣装を楽しんで身につけていたとか何とか。

この後も派手な活躍をすることなく淡々と羊を愛して暮らしていく。

20世期

20世期初頭

所謂「カンテ革命」が起きる。
世の中を傍観しているうちに、ヘイル家にも危機が訪れた。
領地の没収と再配分である。(他にも色々あるがヘイル家的にはこれが一番大変なことだった)
カンテラムは広大な敷地で放牧をして育つ羊である。
その領地をとられたら羊達がすくすく育てないではないか!
この時ばかりはヘイル家は策を巡らして表に裏に奔走した。
ヘイル家がメインで羊達と暮らしていたイコナでは牧場を経営する一般市民もおり、彼等と協力をして何やかんやと頑張ったらしい。
元々、お家芸の羊で稼ぐことを禁じられている貴族である。しかしながら稼ぐために他の人に羊を無償で譲り渡して、その人が販売するとかグレーなことをしれっとやっていたヘイル家なので羊がいなくなったら困る一般市民との連携は完璧だった。
ここで貴族を止めて一般市民になるという手もあったが、「貴族が純血を保つ為に管理している羊」という看板を下ろす勇気がなかった。ブランド力大事。これを愚策だと笑う外部者もいるが、イコナ的には大事なことであった。

現代

相変わらずイコナで羊を育てて暮らしている。楽しい。

カンテラム

いうまでもなく「アイスランドラム」が元ネタ。
(アイスランドラムは9世紀の入植からの古の種らしいですが、カンテの移民は18世紀にした方が良さそうなのでその設定は無し。)
毛は普通のウールは繊維の中心に随があるのに、カンテのウールの繊維の中には気泡があり、竹筒のような組織。故に繊維の中に空気を含むので軽くて暖かい。
肉は柔らかく、脂身は少ない。繊細かつ上品で臭みはほとんどない良質な赤身が特徴。

ヘイル家の名前の由来

現実世界で羊の曲といえば一番有名な曲の作詞者から拝借。