薄明のカンテ - カンテの名前















法律上の名前

「名+姓」のみ戸籍に登録される。
結社メンバーの例:
ロナ(名)+サオトメ(姓)
ユリィ(名)+セントラル(姓)

姓/苗字について

ケルンティアは17Cに統一を果たした「カルティア」の変化した姓だとされており、昔からあるありふれた姓である。カルラティ、ケレンリーなども遠い親戚に当たる姓。
日本で言えば「○藤」がたくさんいる感じに近い。
エルナー、リーシェル、シリッシュ、地名のレイレント、ラシアスなどもよくある姓。
18世紀の渡来人や大陸戦争時の移民がいるせいで様々なルーツの姓がある。

ミドルネームについて

職業や象徴ではないミドルネームを持つ人も少数ながらいる。
名の部分にすべて含めて戸籍に登録される。
18Cの渡来人達の中にミドルネームの文化があったらしく、大事に現在まで守っている家もある。貴族14家(現在は11家)のベネット家にはミドルネーム文化が存在する。
結社メンバーの例:
(ギルバート・ホレス(名))・ベネット(姓)

また、一般市民でも渡来人の子孫や大陸戦争時にやってきて帰化した人達もいる。
大陸の兎頭国からの難民だったため、漢字をそのままアルファベットにした名前もある。
結社メンバーの例:
(アン・ファ(名))・シン(姓)
→母親が兎頭国からの移民。漢字表記は杏花秦だが本人は知らないし、戸籍にも表記無し。
本来、秦は姓ではなく母親のあざなだが、母親が入国の際に姓として登録した。
(マジュ・リョワ(名))・シン(姓)
→アンがミドルネーム持ちの為、なんとなく。漢字表記は存在しない。

昔ながらの名前

「名+職業などその人を象徴するもの+姓」が記録に残る範囲の形。

結社メンバーで再現するなら:
アキヒロ(名)・整形外科医(職業)・ロッシ(姓)→アキヒロは整形外科医でロッシ家の人
ヘレナ(名)・狩人(職業)・マシマ(姓)→ヘレナは狩人でマシマ家の人
ビクター(名)・筋肉(象徴)・トルーマン(姓)→ビクターは筋肉が象徴的なトルーマン家の人

20世紀前半ごろに法律で廃止されたので現在はただのあだ名しか残っていない。
ちなみに、ユリィがあだ名をつけまくるのは本当に人の顔を覚えるのが苦手だからなので、昔の名前の形式とはなんら関係はない。

敬称など呼び方について

ビジネスフォーマル

特に親しい間柄(友人/親族など)ではない、取引先の人や顧客には誰にでも姓+「さん」をつけるのがビジネスフォーマルな呼び方。役所の受付、病院の受付、銀行の受付などはこの呼び方で統一されている。昔からある風習ではなく、移民が増えた結果としてファーストネームより姓のバリエーションが増えたためと言われている。

普段使いの呼び方

職場の同僚やクラスメイトや近所の人などへの親しみを込める普段使いの呼び方は
ファーストネーム+「さん」。
敬称をつける文化は他者と自分との境界線を引く意味があり、「貴方の文化を尊重します」という意味も含んでいる。明確な身分差別の名残として、上下関係を重視する人もまだまだ多くいる。昔は敬称をつけるのは男性相手のみだったので、女性専用の呼び方はほぼ存在しない。現代では兼用になっている。
カンテ国の特性として、「カンテ色に染め上げるより、都合の良い文化や技術を吸い上げて成長する」というのが敬称文化に反映されていると思われる。

仲のいい年下

仲の良い年下にはファーストネームor愛称+「ちゃん/くん」に相当する敬称がある。
本当に年下でなくとも、みんなしてあだ名と化した呼び方であれば呼んでも構わない。
例:カヤは叔父のアキヒロを「アキくん」と呼んでいる。親族間で行き来していた名残。

初対面

初対面の相手にいきなりファーストネーム呼び捨ては馴れ馴れしいと思われるが、一度しっかり仲良くなるか目上の人だと認識すれば呼び捨てでも構わないし、昔ながらの名前のようにあだ名で呼ぶこともある。

役職呼び

役職名がある場合は役職名で呼び捨てが多い。
親しくて了解があれば上司でもファーストネームの呼び捨てをしても構わない。
例:第4小隊長ロナはビクターに小隊長と呼ばれ、アサギには呼び捨てにされている。

上司ではないけど目上だろうなという時は「先生」。
役職名を知ってるけど長すぎて呼ぶ気になれない時も「先生」。
元は貴族や司族の男性への敬称だったが、カンテ革命以後から男女問わず一般市民にも使われるようになった。
大学卒業生でその筋のプロ(医師や弁護士、教師など)っぽい人に使われる。
昔から技術を持つ人を大事にしてきたお国柄の影響がある。
名前のわからない人にも使われるが、名前を知った場合は「さん」に切り替える。
ごく親しい目上の人の場合には例外として、愛称+先生のような言い方が存在する。

例:初対面で医師としてアペルピシアに会った場合は「先生」と呼ばれるが、しばらく通院したり同じ職場で親しくなった場合は「エル先生」と呼べる。

例:初対面で肩書きを知らずユウヤミにあった場合は「リーシェルさん」か「ユウヤミさん」。犯罪心理学者の肩書きを知った場合は「先生」でも可。犯罪心理学者の仕事に関係している場合は「犯罪心理学者」「先生」と呼ぶ。同じ肩書きの人が複数いる場合は「ユウヤミ先生」でも差し支えはない。

お互い医師や弁護士や教授など高学歴でインテリ同士の場合はある種の仲間意識で〇〇先生と呼び合う事がある。

良家の令嬢につける〇〇嬢、奥方につける〇〇婦人、という呼び方もあるにはあるが、上流階級同士でしか使われず、一般市民の普段使いの呼び方ではない。

最上級

最上級はフルネーム+「さん」。日本語に意訳した場合は「様」になる。
フルネームの呼び捨ては一番高圧的な呼び方であり、目下の人を怒る時などに使われるので、あまり好かれない。……不良が喧嘩で煽る時に使うかもしれない。

兄さん、姉さん呼び

年上の親しい男性には「〇〇兄さん」女性には「〇〇姉さん」と呼ぶ方法があるが、子供っぽい呼び方とされているので、ひっくるめてファーストネーム+「さん」、ファーストネーム+「先輩」と呼ばれる。
例:マジュはアンを「アン姐」と呼んでいるが、大人同士では使われない。

古めかしい呼び方

ユウヤミがよく使う、姓+「ちゃん/くん」というのは実は古めかしい呼び方。
登場するのは古文書の中がほとんどで、現在は使われていない。
18C以前、ファーストネーム+「さん」が初対面の人への呼び方とされていた。「さん」というほど遠くなく、愛称や呼び捨てほど近しくもない同等の相手への呼び方として姓+「ちゃん/くん」が生まれたが、18Cに移民が増え、姓+「さん」の呼び方が登場し、名+「さん」の格が下がった事で姓+「ちゃん/くん」は歴史から姿を消すことになった。

特殊

ファーストネーム+「女史」は特殊な呼び方。
昔、役所など高い立場で男性に混じって働いていた女性のことを指していた言葉。
転じて、凄い功績を持っていたり、社会的な立場を持つ女性への敬称として定着した。
使うチャンスはほぼないと思っていい。

機械人形

機械人形たちは姓を持たず、実年齢も低いので初対面から目下としてファーストネーム+「ちゃん/くん」だったり、人ではないので呼び捨てにされたりもよくある。
丁寧な人はファーストネームに「さん」をつけてくれるが、明確なルールは存在せず、持ち主が異議を唱えない限り呼びたいように呼ばれている。

まとめ

最上級:フルネーム+さん(様に近い)
ビジネスフォーマル:姓+さん
年齢問わず友達以下、知り合い以上:名+さん

親しい目下の相手:名+ちゃん/くん
親しい友人:呼び捨て、あだ名(敬称含めてあだ名の場合もある)

上司:役職名、親しければ名の呼び捨ても可
部下:呼び捨て、年上の場合は名+さんでも可

上司ではないけど目上:先生、名+先生
名前のわからない相手:先生(そこの紳士、そこのご婦人、くらいのノリ)

高圧的:フルネームの呼び捨て


……とここまで書いてきたが、カンテの風習を知らない移民もいれば、自分ルールを貫くユリィみたいな人もいるのでこのルールは絶対ではない。
とりあえずファーストネームに「さん」をつけておけば大丈夫。