「あーしが居場所なくしたらどうする気だよ」「あーしはマジュとミサキを守っていかなきゃなんねぇんだ。ちっとやそっとで文句言ってりゃ大事なものを落としかんねぇだろうが」
「生憎、あーしは口先だけの約束は信じない主義でな。美辞麗句並べ奉ったところで言葉なんざいつだって反故にできる」アンの脳裏に浮かぶのはいつか迎えに行くと言っていた母親と、いつだって味方になってやると言っておきながらあっさり見捨てた先輩が見えてる
待てよ、もしかしてアンがミサキを庇って身を差し出したのは既に捨てていたからでは?
ミサキはあの時が初めてだと誤解してたけど、実は記憶が吹っ飛ぶ原因が他にあった説
味方になってやると言っていた女子の先輩がいたが、そいつに騙されてノコノコ出て行ったらピーピーうるさいとしこたま殴られて、此奴どうするかってリーダー格の女子達が話し合って性悪兄貴達に預けられる
当時14にもなってなくて10歳くらい?だったけど最初の性暴力はこの時だったのでは?
兄貴達に気に入られなかった故に2回目の呼び出しは無かったけれど、この出来事の所為で記憶が吹っ飛んでしまい、10歳〜ミサキに会う14歳まで現実の記憶が無くなっており、10歳以前の記憶にしても母に捨てられた記憶と先輩に騙された記憶だけ残して、自分の歴史に関する記憶が全部消去されている
そんなわけでミサキに執着するようになったけど、ミサキも性悪兄貴に狙われた時に自分はもう守るもの無いからと身代わりを買って出てしまった
大人に近い身体に成長していたのもあって(14歳〜15歳?)、小さい時のように悪戯で終わらない性暴力をふるわれたのはこの時
でもアンのアイデンティティがミサキに移行していた為にミサキを守れたから全部どうでもいいと笑えた
孤児院は18歳になると強制退去。大体は中学卒業した後の15歳くらいから働き始めて院を出て行く。
アンの場合、ミサキの事が心配だったのもあって転職する時まで仕事をしながら院にいた。
中学卒業して直ぐの9月、つまり15歳になって直ぐ。職業訓練校には行かずに院から近い定食屋のバイトを始める。定食屋「はやい!やすい!うまい!」がモットーの大衆食堂。孤児院に来てた求人では無く、アンが自分で探してきた職場。沢山は受け入れられないけど1人ならいいよと言ってくれた店長と奥さん夫妻は面倒見の良い豪快な人で、アンに個人で暮らす時の料理の仕方等生活に必要な事を教えた。綺麗な見た目には作れなかったので厨房ではなくホールの担当が多かった。ただし弁当におかずを詰める手際が良かったので、仕出し弁当を作る時は重宝された。まかないの食事を容器に入れていつもこっそり持ち帰ってミサキに食べさせていた事もある。途中で店長にばれて早くそう言う事は言えと怒られて堂々と持ち帰るようになる。店長と奥さんには生活に必要な事として喧嘩の仕方まで教わっている。当初は前髪で片側を隠して後髪は一つで低い位置で括っていたアンだが、奥さんの指示でツインテに。「看板娘」の役をしていたのでセクハラ日常茶飯事。機械人形整備士に転職したのも看板娘の役に嫌気がさしていたから。
2164年9月〜2167年7月までその定食屋に勤めるが、定食屋の常連だった機械人形整備士の男性に指先の器用さを気に入られて機械人形整備士の道へ。2167年7月には荷物をまとめて孤児院を出て貯金を元手に部屋を借りる。2168年にはミサキの勉強部屋も兼ねる。
「ん?なんだこりゃ良いランプつけたじゃねぇか。旦那良い仕事すんなぁ」
「あの人は忙しくてね、代わりにバイトの子がつけてくれたのよ」
「バイトの子?」
「そう。説明書読んでサクサク付けてくれてねぇ……あの子結構器用なのよ。飲み込みもいいし」
「ほほぅ……?」
「アンタさ、従業員探してるって言ってなかったっけ?」
「探してんのはスキル持ちだよ。だが……コイツは使えるかもしれねぇなぁ」
整備士の男性の姉夫婦が中古業者をしており、そこに就職。
定食屋の奥さんといい、中古業者社長夫人といい、奥さんたちが結構クセ強い。セクハラ対策や喧嘩の仕方などを教えてくれたのは奥さんたち。
仕事は結構ブラックに近い職場だったらしく、新人研修無し、一回言ったら覚えろ、残業ばっちこい、偶にデスマーチな場所だった。アンは不思議に思わず孤児院に比べたら何処だってマシのスタンス&ミサキとマジュを食わせるという目的があったから辞めなかった。
プログラミングの依頼には機械人形用のものも多いらしい。そのための練習台が欲しい。
特に名前は決めず、「お兄ちゃん」と呼ぶことにしたらしい。
同時期にマジュを拾うアン。職場が上層と下層の中間地点に位置するので、危ない職種の人もたまにいるし、浮浪児グループも見かける。アンとしては見て見ぬ振りをするしかない。自分に誰かを真に助けられる力はないし、無理に救えば共に沈む。営業に答えると何でも売りつけてくるので注意が必要。浮浪児グループが人身売買の業者に連れ込まれているところに遭遇するアン。見ている事がバレたら自分が危ないので影で待機する。人の隙間を縫ってボロ切れを纏ったチビ助が走る。よく前を見ていなかったらしく、アンの隠れていた影に飛び込んでくる。ブリックレッドのバサバサ髪、ヴァイオレットの恐怖に震える瞳。何を思ったかアンはその子の口を塞いで押さえ込んでただの物陰から見えない物陰へ。チビが1人いない事に気付いた業者が辺りを見回して探すが、役に立たないガキ1人、と言って去っていく。周囲の様子を伺いながら外に出るアン。チビに事情を聞くと親なし宿無し名前もなし。
アンの家に転がりこんでアンと養子縁組でマジュになる。
なんで拾ったのか。浮浪児なんてそこら辺によくいるもの。それなのになぜ。
自分を捨てた親への復讐だろうなと。迎えにくるからと言って孤児院に入れたくせにいくら待っても来なかった。捨てられたと真に気付いた7歳の日から誰かを信じることをやめた。何も期待しなければ何も傷つかない。
もし自分がこのチビを今見捨てたら、大人になっても大人を恨んだままになるだろう。
自分に重ねて見えてしまった。後悔は少しあった。
元のキャラシはこちら(Twitterリンク)↓↓↓
https://twitter.com/suzujiu_orichar/status/1179221...